これってどうなの?立法の不作為

立法の不作為というのは、憲法上、国が本来であれば法律を制定すべきところ、その義務を怠ったために、国民に損害を与えたことを指すことばです。
法律が憲法に違反しているかどうかは、憲法に定められた違憲審査制によって、裁判所が判断をすればよいことですが、この制度は基本的に具体的に法律や行政機関の命令、処分などが違憲かどうかが訴訟によって争われる場合に限って行使することができるという特徴があります。
そのため、もともと法律が制定されていないのであれば、せっかくの違憲審査制を使えなくなってしまうことから、新たに提唱された考え方ということができます。
この不作為の内容としては、法律がまったくないことのほかに、法律の内容が不十分であることも含まれていますが、具体的に裁判で問題となったケースとしては、在外邦人選挙権制限違憲訴訟がよく知られています。
これは、平成10年の公職選挙法改正によって、衆議院・参議院の比例代表選挙については、外国にいる日本人にも投票する道が開かれたものの、法律の不備によって、衆議院小選挙区選挙と参議院選挙区選挙について投票ができないのは不公平だとして争われた裁判です。
平成17年の最高裁判所の判決では、原告による違法確認の訴えそのものは却下したもの、不作為により国民が選挙権を行使できないのは違憲だとした上で、国に国家賠償法にもとづく賠償を命じています。

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